本当は、気づいてる。
彼女の俺を見る目が、少し前から優しくなったって。




みんな、恋、してるんだなって思う。俺は、何をやってるんだろう。 みーちゃんにも好きな人がいて、 ツトムはみーちゃんのこと好きで。そんなツトムのことでさえも好きだって言えてしまうな、よんさまは。 俺は、むぎのこと好きなのか?…むぎは 今頃俺の知らない男と遊んでんのかな。うわ、そんなこと考えてたら寂しくなってきた。 ツトムにメールでもするかな。「寂しいよ、ダーリン」って。返事は間違いなく「どうしたハニー」だな。 俺らきもい。 みーちゃんに…は、なんて?よんさまだったらシカトされそう。 あはは、俺ってなんなんだ。


「いっちゃーん」人混みの中からむぎが手を振ってる。小さく振り返すと 「久しぶりだね!」「そうだなー、一週間ぶり?」「…そんなもんかあ」 「何してた?この一週間。」「バイトまみれだったよー」「ふーん」 「大変だったんだからね!メールを返す暇もないくらい」 「あはは、俺めっちゃ切なかったわ、メールシカトされて」「あはは」 寒いからどっかはいろっか、メールのお詫びにおごったげる「まじ?らっき」


外は雪がしんしんと降っている。窓際に座ってさっき頼んだコーヒーとスコーンをまつ。 「おいしいよね、ここのスコーン」「そなの?」 「うん、昔二人できたじゃん。」「え、俺ここ初めてはいったんだけど」「うそ」 じゃあ、誰とだっけ?と悩んでるむぎ。(どうせ他の男かなんかだろ)。それからは 他愛もない話して、コーヒーに砂糖とかいっぱいいれたら、むぎに笑われて。 「そろそろいこっか」むぎがそう言って立った時、外に、よんさまとみーちゃんがいた。 手を振るふたりに気づいたむぎが、「だれ?」と少しだけ気まずそうに聞いた。 手を振り返しながら「同じ学校のやつ」とだけ答えた。「…ふーん、」 不機嫌に返事をするむぎ。「なんだよ、おこってんの?」「怒ってない」「あっそ」


外に出ると息が白くて、冷気が体にまとう。 「いっちゃんさ」「んー?」手は、繋がない。さっきよりなんだか、空気が重い。 「…もう、いいや。」今日は帰る、と今まで歩いてた方向とは違う、つまり戻る方向に歩いていった。 「むぎ、」何おこってんだよ。そう言って右肩に手をのせると簡単に振り払われた。 「、んだよ。」追いかけることもできずに、立ちつくす俺と反してむぎは、歩き続けて。見えなくなった


久々にあったと思ったらこれだ。最近はこんなのばっかりだ。 今度も俺に謝らせるつもりなんだろうか。 暗い悩みとは裏腹な明るいケータイの音が鳴った。ツトムから「寂しいよダーリン」とのメールだった。 「俺もだよ、どうしたハニー」そうだ、ハートをいっぱいつけてやろう。