みーちゃんが寝てしまった。酔いもさめて、目も覚めてしまった。
(…酔った、といってもあれは「フリ」で、あの電話もわざとだけど。)
時計は2時をまわっていた。面白いテレビはいってないし。
…ひまだ。
「さむ」と、誰もいないのに一人でつぶやく。
コンビニに明日の分のパンを買いに行く。
慣れた道だし、すぐだし。家族はみんな寝ちゃったし。
この寒さに明日にすればよかったと後悔したけど、戻るのも面倒(せっかく着替えたんだし)
早歩きで行くことにしよう。
読みたい雑誌読んで、パン買って、家に着いたら疲れてねむくなってる。うん、きっとそうだ。
コンビニで目があうと、「あ、よんさま」といっちゃんが声をかけてきた。
店員さんの「いらっしゃいませ」とほぼ同時に。
(あたしはよくコンビニで人にあうなあ。)近寄ると「みーちゃんはいないの?一緒にいたんでしょ?」
「一緒に、ていうか。うちに泊まってるの。けど先に寝ちゃって。」
「あ、もう酔ってないんだ」あきらかに安心しているいっちゃん。
「あー…さっきはごめんね」「いや、いいんだ」まあ、わざとだけど。
「みーちゃんにあとで聞いたらひどいこと言ってたって。」「あはは、覚えてないの?」
「電話したことくらいしか」「うそでしょ」にこにこしながら言う、いっちゃん。まあ、いいか。
「嘘だよ。本当はわざと」「ひでー、めっちゃ傷ついたんだけど、あの電話で」
「あはは、それが目的」「まじ?」もう、俺よんさまのこと信じられなくなりそーと、うそぶくいっちゃん。
「本当はいっちゃんに気づいてほしくて、ね」「なにを?」「それは、秘密だよ。」
いっちゃんはふーんとだけいった。「いっちゃん、こんなよる遅くなのに眠くないの?」
「1回寝たんだけど、目さめちゃって。よんさまこそ、一人で来たの?こんな遅いのに。」
「なんか眠れなくてね。家族みんな寝ちゃったし」
「…今後は女の子ひとりで夜出歩かないように」「…はーい、おじいちゃん」
「おじいちゃん!?」せめてお兄さんか、いってもお父さんまでだろー。いっちゃんはひとりで笑った。
「送るよ、家まで」「いいよ、遠回りだよ」「いいよ、どうせ眠れないんだし。少しくらい歩いた方が。」
「あははは」いこっか、と言ったいっちゃんに流されて忘れていくとこだった。(ちょうど
視界にはいってきてよかった!)「待って、パン、買わないと!」
今までは勉強はできて、いいこのみーちゃんがどうしていっちゃんのこと好きなんだろう。って。
彼女をいる人を好きになってしまうなんてバカじゃないかなって思ってたけど、
少しだけ、いっちゃんを好きになった理由がわかった気も、する。うん。
あたしって自分で思ってたよりいっちゃんのこと知らないかも。
あーあ、そんなみーちゃんを好きなツトムはもっとバカだよなあ。
って、そんなツトムを今でも好きなあたしはもっとバカってこと?うわ、せつない。