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言ったのはただ一言それだけ
なのにまるで違う景色を見ている気がする




学校から逃げるように駆けだしていくツトムとみーちゃんを教室から見ていた。 おいおいさぼりかよ、なんて思いながら。 ツトムはちゃんと俺らの期待に応えてくれたのだろうか。 ていうかこれで言ってくれなきゃ俺たちの行動全部むだだよな。 きっとツトムなら大丈夫なんだろうけど


夜にふと思い立って電話することにした。 発信ボタンを押した後のしばらくの間 そいえば前むぎとみーちゃんと、間違って電話かけたことあったなあ なんて今はもうなくなったむぎの番号を思い出していた。 「……もしもし」「みーちゃん?やっほ、出てくれないかと思った」 「うん、出来れば出たくなかったよ」「あはは、ありがと」 少し鼻声のみーちゃんの声が響く。うん、みーちゃんはみーちゃんだ。 「で…どう、し たの?」「今日学校ツトムと、抜け出したじゃん?」「あー、うん」 「ツトムと、なんかあったの?」「なんかって?」「告られた?」 「……!」「多分気づいてなかったのみーちゃんだけだよ」 「ほんとうに?」「本当」「うわー、恥ずかしいね」「何が?」「…照れるよ」 「あはは、そっかー。でもその様子ならツトム言ったんだね。それは良かった」 「…いっちゃんも、よかったね。よんさ」「あ、ストップ」「へ?」 よんさまと付き合えて、とでも言おうとしたのだろうみーちゃんの言葉を遮る 。「みーちゃんを少し仲間外れにしちゃってたから、ひとついいことを教えてあげるよ」 「いいこと?」「いいことっていうか、なんだろ。本当の事かな。」「…なに?それ」 「俺、よんさまと付き合ってないよ」そう言い切ったあと、ずいぶん長い沈黙がやってきた


「どういう、こと?」「あはは、やっと返事きた」「全く理解できないよ」 「付き合ってない、それだけだよ」「だって、今日の朝、手…」 「うん。ツトムには付き合ってるって思って貰おうと思って」 「…なにそれー」「みーちゃん今すごい声が脱力してたね」「そりゃあ、ね」 「1回はちゃんと付き合おうかみたいになったんだけど、やっぱり違うねってなって」 「…何が違うの?だってよんさまはいっちゃんが好きなんじゃないの?」 「あー、そっか。そうだよね。知らないもんね」 今すっかり忘れてた。「な、にを?」「よんさまは他に好きな人がいるんだよ」 「え、誰?」「俺が言った事は内緒ね。うすうす気づいたことにできる?」「うん」 「ツトムだよ」「………」「みーちゃん?」「えっ、本当に?」「うん」 「全然気づかなかった」「多分よんさまはずっと好きなんじゃないかな?、わかんないけど」 「いっちゃん、何で知ってるの?」「いや、普通に気づくよ」「…鋭すぎだよ」 「みーちゃんとツトムが鈍感なだけだって」「そう、なのかなあ?」「そうだよ」


長くなってしまった電話は、 最初とはちがうみーちゃんの「おやすみ」という 明るい声で終わった。 最初から裏切り者になるなら最後まで裏切り者でいよう。 きっとみーちゃんはツトムと付き合うんじゃないかな、なんて あえて聞かなかったその結果を、今更想像してみたりした