結局、考える時間が欲しくて学校を休んじゃった。
いっちゃんがもし、よんさまに伝えれなかったらどうしよう。
よんさまが怒って来なかったらどうしよう。
不安は絶え間なく頭をよぎって、忘れたくなって映画をみて気を紛らわせようと思って見たら、
想像より全然いい映画で、わんわんとまた泣いてしまった。
また目腫れちゃうよ、あーあ。
夕方、着替えて公園に向かうと、見慣れた制服がひとつあった。
……よし。「よんさまー」声をかけると思いっきり不安そうな顔で振り向くよんさまがいた。
子犬みたいに震える姿なんて初めて見たから可笑しくて笑ってしまった。
「ちょ、みーちゃん?」「そんなよんさま、初めてみたよ?」
「………」「そんなびくびくしないで?」「うん」
「怒ってないよ。」「え」「すごい泣いたけど。」「…」
「でもね、あたしつーくんとは付き合えないんだ」「、そっか。ツトム言えたんだ」
遠くを見るように微笑んだ。
「よんさまがいっちゃんと付き合えなかったのと一緒の理由で」「!?」
「あ、ちょっと違うか」何にも言えなくなってるよんさま。
「付き合ってるって思った時は本当に泣いたけど、ね」「な んで知ってるの?」
「それは秘密かな」「いっちゃん?」「ふふ、秘密ー」
よんさまは歯がゆい顔をして、それからまたゆっくり、悲しそうな顔をした。
「みーちゃん、ごめんね」
「ううん。よんさまにはよんさまの考えがちゃんとあったのでしょう?」
ふう、とため息をひとつ。
「だから、もういいの」「みーちゃん…」
「でもね、やっぱり傷ついたの。」「うん」「だから、一つだけ約束して?」
「…なに?」「つーくんに気持ち、伝えて?」
「き もち?」「そう。好きなんでしょう?」
「知ってたの?」「もうっ、それくらい気づくよ」
「うそ、でしょう?」「ほんと」「えー なにそれー!」
やっと笑ったよんさま。あたしもつられて つい、笑っちゃう。
「でもあたしだけは嫌だよ」「え?」
「みーちゃんも、いっちゃんにちゃんと言ってね?」「…うん。頑張るよ」
それから一緒に色んな話をした。明日伝えることを絶対の約束にして、
いっちゃんの話、つーくんの話も。
何にもなかったように、とまであたしの心は簡単にはいかないけど、
それでも、よんさまと話せたことが嬉しかった。
たくさん泣いて、たくさん笑ったこともちゃんと、いっちゃんに伝えよう。
心地いいドキドキの中、あたしは夢をみて眠った。