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今日の星もきれいだなあ、と空を見上げていたら、 うちの前で車が止まってそのままエンジンが切れた。 こんな夜遅くに訪問者?誰だろう、知らない車。 降りてきたのはおじさんと女の子。

「お、優歌か?」

おじさんはおれの名前を知っているらしい。 誰だろう、こわっ。

「じいちゃん、いるか?」
「どなた、ですか」
「だよな。はじめましてだもんな」
「はい」
「優歌のおじさんだよ。こんばんわ」
「…慎二おじさん?」
「おお、よく知ってんな」
「本物ですか、」
「ははは、本物だよ」
「生きてたんですか、わー…今までどこにいたんですか?」
「そういう話は中でしてもいいかな?今優歌はなにしてたの?」
「物置に、昨日の新聞を取りに。」
「そっか。じゃ、はいろ」

うながされるまま、おれが先にドアを開けて「どうぞ」と通す。 女の子と目が合ってぺこっと頭を下げると「ありがとう」と頭を下げ返された。 年上かなあ。すごい落ち着いてるなあ。 後ろから追いかけるように扉をしめると、 おじさんはすでにリビングに行ったようで、「ただいま」の声が聞こえた。 そっか、この人もここの家の人かあ。
母さんはすごいびっくりした顔で、「慎二さん、ですか」と固まっていた。

「お久しぶりです」
「こんばん、は」
「じいちゃんとかばあちゃんとか、兄ちゃんとかいますか?」
「ちょっと待ってくださいね」

「優歌、お父さんとか、すみれとか、みんな呼んできて」
どうやら大家族会議が始まりそうだ。 おれは母さんの言われたとおりに二階にあがって、順番にドアを開けて 声をかけて、みんなよくわからないままリビングに集まった。 父さんは想像よりもずっと冷静で「そうか」と一言つぶやいただけだった。 おれもリビングに戻るとみんな正座していて、 ただならぬ雰囲気。じいちゃんばあちゃん、父さん母さん、 すみれ姉ちゃん、拓人、かすみ、おれ。 それから慎二おじさんと、女の子。家族に、異質な二人。 慎二おじさんって結婚してたっけ?この女の子と結婚しますとか言われたらどうしよう。 いくらなんでも年の差がありすぎるよ、じいちゃん頭固いからなあ。 重い雰囲気の中、口を開いたのは父さん。

「慎二」
「久しぶり」
「慎二、あんた元気だったの、」
「ありがとう母さん。おかげさまでね」
「その子は、」
「娘。」
「は?」
「血は繋がってないけど、娘です。
 今日はこの子を紹介しに来たんだ」

「来たんだ、じゃねーだろ」と怒鳴り声。 みんなが張り詰めている中、じいちゃんだけがただ静かに座っていた。

「どこのどいつとの子供だ、血は繋がってないってどういうことだ、
 十何年も連絡取らずになにしてたんだ、
 どれだけの人がお前を心配したと思ってんだ」

響き渡る父さんの怒鳴り声の中、じいちゃんがやっと口を開いた。ゆっくり、

「七星ちゃん、だったか」
「え、」
「会いたかったよ。」

じいちゃんがそう微笑んだと同時に、七星ちゃんという女の子は泣いた。 ぽろぽろ泣いて、それから「ごめんなさい、」と困ったように謝った。 ばあちゃんが「七星ちゃん、でいいのかい。こっちにおいで」立って 手でこいこいをして、七星ちゃんは慎二さんに頷かれて ばあちゃんの手を握ってリビングから出て行った。


「父さん、なんで」
「ったく、かわいい女の子の前であんな怒鳴りおって…」
「、」
「…父さん、なんで知ってるの」
「木下の息子から、十年くらい前に少しだけ聞いてな。」
「裕吾から、」
「詳しくは知らないがいろいろあったんだろ。
 七星ちゃんをちゃんと育てられているようで安心したわ。
 あの子は今、いくつになった?」
「今年高校生になったから、16かな」
「そうか、優歌と同じ年か。」

ふうと一息ついて、じいちゃんはおれらの方を見た。

「お前らのいとこだからな、仲良くしなさい。
 たぶんばあちゃんと2階にいるから、見てきなさい」

じいちゃんはそうやって、優しく笑った。