まんまるの穴からみる世界
僕はそれが好きだった。
子供の頃から、それを眺めてはにんまり笑った

大人になってからはもう、なんとなく恥ずかしいっていうか。
ときどき、たくさん並ぶドーナツの中から選びに選んで、
お持ち帰りです と答えたときに、また世界をのぞく


ドーナツ


君が、今日はドーナツを作ったんだ、と持ってきた
僕はわくわくして「ありがとう」と言った


君の世界はどんなだろう?


差し出されたドーナツは、穴のあいてないドーナツで、
ひょろーんと、そこにいる

「穴、は?」

穴の部分が勿体ないじゃない、君は言った


「それに、穴をあけるものがなかったし」

あいた状態で揚げるの難しいんだよ?
やったことないけど

答えというものは、ちゃんと証拠とセットにしてもらいたいものだ


「ちょっと貸して?」

ドーナツを手渡す

がぶり

「あー!」
僕より先に食べたっ!

「ほらね?」

得意気に君は言う

「ここを穴だと思えばいいよ」

ああ、なんてポジティブ。

歯形のついた欠けたドーナツから空を見上げる。
うん、これもなかなか悪くない

君を覗くと、君は笑った。


(07,06)

ドーナツと言えばポン○リング
子供のような僕と、子供みたいな君の話