けんかをしたわけじゃない。
ただ、もう一緒にいる理由がなくなってしまっただけだ。
僕らに、終わりの時がやってきた。

「海にきて」
そう言ったのは君だった。
海は、僕らが出会った最初の場所で、あれから何度も君に会いたくて、
偶然を装ってきては、君を必死に探していた。

もう、だいぶ前のこととなってしまった。
きっと終わりが告げられる。


僕が海へ着くと君はにっこり、僕の好きだった笑顔で笑った。


「はやいね」
「そんなこと、ないよ」


しばらく、なにも言えなかった。
君が何を言いたいかもわかるし、僕が知っているのも君はわかってる。

「ここはさ」
「うん?」
「思い出が、たくさん、ありすぎるよね」
「うん、すっげー来たよな」

きみから、もう一度開かれた口

「もう、さよならしよっか」

僕は、わかっていたはずのその言葉が、君の口から出て、初めてその重さを知った。
涙は、流さないよ。

「離れてもさ、きっと僕は好きでいると思うよ?」
「うん、私も、好きだと思う。だって一生のうちで、こんな幸せな恋ってもうこれ以上ないと思うし」
「そっか…」

その言葉が聞ければ、もう満足だ。
僕はこの思い出を宝物にして生きていける。

君とケータイを交換した。
そして、お互いの番号と、アドレスを自分の手で、消す。

「次、もしも街のどこかで偶然あって、好きになったら、運命だと思っても、いいよね?」

君は涙をためてうなずいた。



それから僕たちは「じゃあね」と行って反対方向へ歩き出す。



グッバイ



「ねえ!」
僕は叫んだ。精一杯。
「今日という日をさーっ、懐かしく思える日がきたらさ!!」

もう声が届くか分からないほど離れていた。
だから、精一杯叫んだ。

「また逢えること信じてもいいかな?」

この距離からでも見えるくらい、大きく頷いて
「私も信じてる!」君が、そう叫んだ


僕はこぼれそうになる涙を必死に止めながら、また背中をむけて歩き出す。
君と正反対の道。
けど、いつかどこかでこの道がつながっていることを信じてるよ。

それが、君との約束。だから。
さよならの言葉は「またね」でもいいかな?



(07,30)

グッバイには、どうしても切ないさよならが似合うと思って、何回も書き直ししました
大変だった。それでも大切なお話にできてよかった。
このお話を送りたいふたりがいます。
いつか幸せになれること、本気で願ってるよ。
他の人と幸せになっていくふたりなんて、考えられないけどさ、
もう一度ふたりが恋する日がくればいいのに、なんて、それはあたしの独り言。