「なーサヤちゃん」
「なーに?りょーたちゃん」
「ちゃん付けすんなや」
「ちゃん付けすんなや」
「…もういい」


「で、なに?」


「あのさ、アドレナインだっけ、アドレナリンだっけ」
「いや、むしろアドレナヒンじゃない?」
「…そうだっけ?」
「うそ、ごめんてきとー」
「適当なこというなや」
「だって知らないもんは知らないもん」
「辞書ででもしらべたら?」
「めんどくさいよ!」
「まぁ、ドンマイだ」


「わけわかんないよ、ていうか、最初に聞いたの君でしょ?」


良太はあっけからんとした顔であたしに聞く

「そうだっけ?」

だめだ、この男アホだ…(すっごく今更だけど)



部活の帰り道、良太が「よっ!」なんて声をかけてきた。
あたしは徒歩で、良太はチャリンコ。
サッカー部よりさきに終わったバレー部に簡単に追いついたのはそのせい。

うちわでぱたぱたと扇いだ。うん、気持ちいい。
良太が貸せ貸せうるさいから、こんどアイスをおごってもらう事を条件に貸してあげた

たかが部活、されど部活。
お互い汗臭いのなんてもうどうでもよくなってる


「どーもー」
にこっと笑った良太からうちわを受け取った。

「いいえ、どういたしまして」
「てか今日も暑いね」
「だね、夏だね」
「もう夏休みだしね」


ふーとため息をついた

良太はチャリンコを押す。あたしの隣を歩く。
先に行けばいいのに、それをしない。
後ろに乗っけてくれればいいのに、それもしない。
ただ、あたしに合わせて歩いてる。
今はなんだかそれが心地いい。

「そーだ、暑いからソーダのアメちゃんあげる」
「シャレ?」
「おしゃれでしょ?」
「ごめん、おもしろくない」


「がーん!」


がーんってあなた。口で言うなよ、口で
そういうと、良太は笑って「いいからはよ手ぇだせ」と言った
あたしは右手を少しだけ丸めて差し出すと飴玉を2つくれた


「2つももらっていいの?」
「いいよ」
「ひゅー、太っ腹!」
「だろ、だろ」


袋をやぶいて飴を取り出した
太陽に透かされた、きれいな緑色だった


「メロンソーダ?」
「そーだ」
「しゃれ、再び?」
「ふはは、ばれた?」
「くだらないってば、」



口の中で、転がす緑色の飴

あ、意外といけるねと言ったら、そりゃぁ俺の持ってる飴だぜ?と当たり前のように言われた。
美味しいのは良太のおかげじゃないよ、飴つくってる工場のおかげだよ。



きらきら




飴がなめ終わるころ、あたしの家についていた。
「じゃぁな」と言った後良太はチャリンコにまたがった。

あー、送ってくれたのかなーと思ったら、なんだか嬉しくなった
少しだけ、ほんとに少しだけ、期待してもいいかな?


右手に眠っていた飴玉をとりだす。
太陽に透かすとやっぱりきれいな緑色で、きらきらしてた。


(08,18)

復活なお話。前の前のサイトのころ。
こんな時期だったなあ、なんて思い出しながら。
あのころはもっと夏休み真っ盛りだったけど。