灼熱の太陽を浴びながら、樹はまどかをさらっただろう?
だから僕は真っ白な月を浴びながら、まどかをさらうよ。
これで、おあいこ。
だから今だけ、今だけでいいから目を瞑っていてくれないか?
白夜の花嫁
「祥吾、どこ行くの?」
「どこでもいいよ。まどかの好きなとこでいーよ」
「あたしは、祥吾とならどこにでも行けるよ!」
まどかは、帽子を目深くかぶって真っ白なワンピース。
少し肌寒いから、カーディガンを羽織って。
「じゃあ、誰もいない、海に行きたい」
手をつなぐ。今日で最後。
樹はうすうす気づいてるかもしれないけど
仲のいい親友と彼女、で無理やり気づかない振りをしてるのだろうか
途中に黒猫とあった。
そいつは僕らの前でにんまり笑って、前を去っていった。
ああ、つきが白い。まぶしいくらいだ。
(どうかまだ沈まないでくれないか?)
願う、今日が終わることを恐れて。君が離れることを恐れて。
明後日、順調にいけば、樹とまどかは結婚する。
今日は僕とまどかを恋人と呼べる最後の日。
お互い壊れるほど好きなのに、壊せなかった樹とまどかの幸せ
波打つ音が聞こえる。
僕らの手はしっかりとにぎられたまま。
特に何かをしたとかっていうわけじゃない。
ふたりで靴を脱いで、冷たくなった海にはいって
はしゃいで。
腕時計が日の出を知らせるころ、僕らは乾いた足に靴下をはめていた
「行かなくちゃね」
君が言う。
僕は君の左手をとった。
始発の電車に君を乗せて、そこで僕らは終わる
まだこない電車を待ちながら、言いたい言葉を全部飲み込んで
音をたてて電車がきた。
ゆっくり立ち上がって、ずっとつないでいた手を離す。
一番最後にまどかは乗って、僕をみて笑った
「ばいばい」
「幸せになれよなー」
「なるよ、絶対。」
戸が閉まって、僕は一歩後ろに下がった
ガラス越しに重ねていた手も離して
「すきだよ」
君の口がそう言っていた
動き始めた電車は僕らを遠くへ引き離す。
僕は、そこで立ち尽くしていた、それだけ
こぼした涙は君の幸せのため。
約束しよう、きっと僕も君より幸せになる。自信はあるよ
(08,27)
昔からずーっと書き溜めていたお話。
やっと日の出をあびれました(たぶん)
だいたい前のもこんな感じだったはずです。