正直言って、嫌いだった。
空ばっかり見て、話しかけても適当な相槌で終わっちゃうし。
席が隣になった今でも、嫌いだ。
少し良く言ったとしても、苦手、だ。



人は見かけによらぬもの



話すときはいつもためらってから、話し出す


深呼吸をばれないように少しして「木之元くん」と話しかける。
木之元君はあたしの方を少しだけ見て「何」と言って空に目を戻す。



「空になにか、あるの?」



これで軽い相槌で終わっちゃうならしょうがない。
一生苦手、になるんだろうな。


そう思ってたのに、木之元君は待ってましたとばかりに笑った。

「みて」

指差して空の赤をあたしに教える。


「あの風船、いっつもこの時間に飛んでるんだよ」
「へー」
「何かのメッセージだよ、きっと」


にこにこしながら話す。
木之元くんのこんなとこ、初めてみた。

「木之元君は何のメッセージだと思う?」
「愛のメッセージかな?」


そういって、照れくさそうに「俺ばかだな」とつぶやいてまた、空だけを見た。
あたしを見てくれた少しの時間。
愛のメッセージを誰かに届ける赤い風船。


少しだけ、木之元君があたしの中で色を変えた



(08,29)

きっとあたしは見た目のまんま。
でもね、君の知らないあたしだってあるんだよ。
教えてないだけなんだよ。