だけどそれでも止まらない足
俺の隣に今いるのは大飯かおる。同級生だ。
最初にアドレスを訊かれて、毎日かおるからメールが来て、返信を打って…
そうしていたらいつの間にか、付き合っていた。
というのは少し大げさなんだけれど、周りに流されたという感じだ。
俺はそんなつもりなんてなかったのに、毎日メールをするという事は結構すごいことらしい。
ただ、それが決して俺からじゃなかったとしても、だ。
女子によると「あそこまで気があるフリをしておいて、振るなんてありえないっしょー」
別に気があったわけじゃない。正直かおるを意識したことはなかった。
すれ違ったときに目が合えば挨拶くらいするだろ?
メールの返事は現代を生きる高校生として、やって当たり前だろ?
んー、女は難しい。
ただ、そんなことを言っても別に俺はかおるが嫌いではない。
いやいやで付き合っているわけではない、と思う。
一緒にいたら楽しいし、かおるは普通にかわいい子だし。
ただ眠い夜中に、かおるの電話に付き合うのは少し苦痛だったりはした。
そんな時に思うのが「俺、こいつのことたいした好きでもないのになー」だった。
端から見たら俺は最悪なのだろうか?
ただ、一つ言いたい。価値観は人それぞれ だ。
改めて紹介しよう。
今俺の隣にいるのは大飯かおる、俺の彼女だ
某ハンバーガーショップで、学校の事だとか、兄弟の愚痴だとか
俺はソフトクリームにジャムみたいなのが のっかったのを食べながら
「うん」「そうだな」と相づちを打ちながら聞いていた。
いつもなら止むことはない話が途切れて、
俺はそれでも残ってしまったジャムをすすっていると、
かおるは じっとこっちを見ていた。
「どしたの?」
「晃くんはさ、どうしてあたしと付き合ってるの?」
「え?」
理由、理由…と探していると、かおるは優しく笑った。
「いいよ、あたしがいてもいなくても、晃くんは変わらないよね。」
「かおる? え、まじどうした?」
「別れよっか、ばいばい」
がらがらとイスを戻して、一度も振り向かずにかおるは行ってしまった。
置いて行かれる、俺。
周りの目による恥ずかしい とは全然違う方向へむかうもやもやがあった。
なんだこれ。なんだこのもやもや。
しばらくメールが来なかった。
すれ違ったとしても、目すら合わなかった。
すでに2週間たってしまっている。
正直、心の底では、かおるは当たり前のように俺に戻ってくると思っていた。
「ごめん、ちょっと言いたくなっただけなの」とか言いながら。
でも 何もない。増えるもやもや。いつまでも原因は不明。
タケにそのことを話すと「僕の誘いを断った罰!」と高笑い気味に言った。
少々いらっとしたが、タケは空気の読める男なので、すぐさま適切な答えに導いてくれた
「かおるちゃんも、きっと同じもやもや増殖中だと思うよ。僕はね」
かおるに会いたくなった。どうしても眠い中また電話したいなあと思った。
もやもやの正体は「寂しい」だったのだ。大きく深呼吸をしてもやもやを吐きだして、もう一度吸う。
放課後逢いに行こう。どうせタケはまた図書室だ。
今すぐ伝えたい事があるんだ。俺寂しかった、って。
かおるが好きで好きでどうしようもないよ、って。
あー、うまく言えないかもしれないけれど。もう遅すぎるのかもしれないけれど。
まあ、大丈夫だと信じよう
なんてったってヒーローは遅れて登場するからかっこいいんだろう?
…って、ちょっと違うか。