ライフ・イズ・ラブ





たった今、午後3時を回ったいま、3ヶ月続いた彼女から別れを告げられた。
「好きな人ができた」らしい。
マジで泣きそうになって、うつむきながら適当な相づち打ってたら

「やっぱり順也も私のこと好きじゃなかったんだね」

も、ってなんだ!順也も、って!
最初に好きって言ったの君ですよね?
「別れたくない」とか言ってほしかったのかよ、ふざけんなまじで。


「…やってらんねー」
石を蹴って、その辺に生えている木も蹴って、
ずっと放置されっぱなしであろう自転車も蹴って、
零れそうな涙を必死に誤魔化した。

「順也くん、なにしてんの!?」
「あー、大飯さん。今は八つ当たり中。」
「あはは、だめじゃん」
「世の中やってらんない事ばかりですから」
「だよねー。あたしもそう思う」
「え?何かあったんですか?」
「順也くんこそ」
「俺はたった今彼女にふられましたー、ははっ、まじ笑えねー」
「あたしもこの間別れたばっかだよ」
「え、どうして?」
「話せば長くなるんだけどね」
「はい」
「きっと晃くんは、あたしのこと好きじゃなかったんだと思う」
「なんで?」
「だって、なんにもないの。
 あたしがどんなに好きでも、きっと晃くんはそれに合わせてる
 っていうか、じゃあいいよ、みたいな」
「じゃあふったの?」
「うん。ほとんど一方的に。
 晃くんに優しい言葉かけられたらまた同じだなって思って、ね。」
「ふーん、強いね」
「順也くんは?なんでふられちゃったの?」
「向こうに好きな人ができたんだって。
 俺は頷くだけで精一杯だったのにさ、
 別れたくないくらい言ってよみたいな事言われちゃって」
「うわ、なんかすごいね。色々矛盾的な」
「うん、俺まだ好きなのにさー。もう知らねー」


あはは、と大飯さんは笑って、
それから「身勝手だけどあたしもまだ好きなんだよね」と言った。


「間違ってるかな?」
「恋愛に間違いなんてないよ。たぶん」
「なんでさ、これ以上ないってくらい苦しむのに、
 好きな気持ちって終わらないんだろうね」
「お、大飯さん詩人だね」
「っていう歌があるんですよ」
「へー、なんだ。期待しちゃった」
「将来のあたしに?」
「そう、サインもらおうかと思った」


後日談だけれど、大飯さんはまた付き合うことになったらしい。
それはよかったなあと思った。
俺は何も変わらず、つい最近までは恋人どおしだった人と、
今は目も合わさなくなるほど遠くなった関係を続けていた。
何も変わらない。
少しだけ大飯さんの事を好きになってしまったという秘密を除いては。
いや、どうせすぐ忘れられる程度の気持ちなんだけれど。うん、そういうこと。