明日世界が終る日の今日
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それはいつもの、なんのへんてつもない金曜日のことでした。
夕焼けがキレイな、そんな日でした。
最後の国語の授業が終わって、帰りの会。
先生からのお話の時、先生はアキちゃんの名前を呼びました。
みんなその雰囲気にきょとんとしました。
アキちゃんは少し涙目で、一生懸命くちびるを噛んでいました。
その理由を次の瞬間に知ることになりました。



「串本さんとは、今日でお別れです。」



アキちゃんのお父さんの都合で、僕の聞いたこともない名前の街へ
明日、行ってしまうらしい。
先生が少し説明をしたあと、アキちゃんが話すことになりました。

涙をこぼさないように、まばたきを沢山しながら
ふるえた声でアキちゃんはゆっくり、言葉を選んでいきました
今までありがとう、とか
本当は遠くへなんか行きたくないです、とか。

静まりかえった教室で最初に、
アキちゃんと一番仲が良かったトモエちゃんの鼻をすする音が聞こえました。
そこから感染するようにみんな泣いていました。僕も泣きました。
それでもアキちゃんは涙を必死にこらえて
「さようなら」に代わる言葉を必死に探していました。


最後にアキちゃんは今までのお礼と言って、一人一人にプレゼントを渡しました。
僕にはオレンジ色の袋でした。
中を開けると四角く折られた手紙と、水色のペンが入っていました。


アキちゃんは迎えに来ていたお父さんの車で帰るので、
みんなで外に出てお見送りをすることになりました。
みんな泣いて言葉にならなくて、ただ先生とアキちゃんのお父さんが
簡単に挨拶をしていたくらいでした。

あとはもう手を振っていたことしか覚えていません。



アキちゃんと僕、
(夕焼けの中で 手を振るさよなら)




何年か経ってから、手紙は僕の袋にしか入っていなかったという事を知りました。
ありがとうと一言だけ書いてあった手紙は、今でも僕の引き出しの中に。
一瞬に似た君の滴の笑顔は、いつまでも僕だけの瞼に。