今、青が光る
「わかれよう」
そう言った。たった5文字。
君と僕とでたくさんたくさん、話した結論。
長い長い恋に終わりを告げる、たったの5文字。ほんの数秒。
いつからかすれ違って、お互いに不満がつのってさ、
気が付けばケンカばかりだったね。
変わったのはどっちだったのかな。いつから嫌気がさしてたのかな。
だけどそれでも、今 この瞬間まで、手を離せられなかったのはなんでかな。
やっぱりそれは君が好きだったからかな。
それとも僕は、君のことを好きな僕のことを好きだっただけなのかな。
出逢いは特別だったわけじゃない。
隣どおしになった席、共通の音楽の趣味、
仲良くなるきっかけはとてもありがちなこと。今から2年くらい前。
それから毎日、いろんなこと話したよね。
好き も、愛してる も何度も伝えあったよね。
お互い忙しくて逢えない日ばかりだったけれど、
メールは毎日かかさなかったよね。
よく「こんな時代」なんて言葉を聞くけどさ、僕は今の時代に生まれてきて良かったよ。
だって君をこんなにたくさん近くに感じられた。
それってすごいことだと思うんだ。
僕が君に初めて好きって伝えた日のこと覚えてる?
ただただ、手が繋ぎたくって、横に並んでるだけじゃ歯がゆくて、
「手、繋いで良い?」って僕が聞いたら、
君は照れたように笑ってさ、こくって頷いたよね。
それから目も合わせられない僕のへたくそな「付き合ってください」の言葉に
君が笑って「よろしく、ね」って言ったの覚えてるんだ。
初めて行ったデートは、映画。コメディ、話題作。
でも僕は前の日に緊張して寝れなくてさ、上映中つい寝ちゃってさ。
君にあとで怒られたよね。そのあと二人で笑ったよね。
来週の土曜日に、その映画テレビで放送されるって。
もう一緒には見れないけど、今度は寝ないで見るよ。
君のこと思い出しながら見るよ。
コメディだけど泣いてしまいそうな気がする。
喫茶店の隅っこでさ、ケンカもしたよね。
沢山傷ついて、傷つけて、一度別れようと言った言葉。
だけどやっぱりその手を離したくないって言ったら、
いつも強気な君が泣いたよね。声を潜めて、涙をぽろぽろ流して。
僕はその時君を守らなきゃって思ったんだ。
君の小さな手を守らなきゃって、強く握りしめたんだ。
来月は君の誕生日。
マフラーあげようと思ってたんだよ。
どこで買おうかとも決めてたけどさ、必要なくなっちゃったね。
でもなにか、友達として、 ともだち として、用意しておくよ。
何が良いかな、貰って困らないようなものじゃないとね。
さっき言ったばかりの「わかれよう」を、思い出話に紛らせて取り消そうと何度も思った。
今のうそ、そう言って昨日と同じ毎日を過ごせたら、何度も何度も考えたよ。
うまくいかないっていうのもわかってるのに、
来年の春にはどうせ離れてしまうっていうことも知っているのに。
「やっぱりきみと離れたくないよ」
そう、言いかける。ぐっと飲む込む。
僕らはどれだけの決意だったか、忘れちゃいけない。
これ以上傷つけ合わないために、お互いの幸せを祈るために。
君しか知らない僕がたくさんあるんだ。
初めてした不器用なキス、抱きしめた温度も、僕のポッケにいれた繋いだ手も。
君はいっつも僕のこと優しいって言ってくれてたけど、
たくさん傷つけちゃったよね。もっともっと優しくできたのに。
君は僕にたくさん幸せをくれたのに。僕は君に何をあげれたかな?
好きな人ができたら、教えてね。
きっとすごくいい人を見つけるんだろうなあ。
これからは僕の知らない君、君の知らない僕が増えていくけど、
それはすごくすごく寂しいことだけれど、強く 前を見る。
君が好きだと言ってくれた僕以上に、もっと素敵な人になってみせるよ。
君の人生に関われたことを誇りに思って生きていく。
僕の人生に君がいたことを誇りに思って生きていく。
今度は友達として会おう。笑って、たくさん 話そう。
そうしたらさ、つらかった思い出も悲しかったことも、しあわせで あたたかいものに変わるよね。
今、青が光る