ガタンゴトン、さっきまで乗っていた電車はあたしを吐き出すように置いて、また再び発進。
出口へと歩くあたしの横を、たくさんの風を連れてはしって、見えなくなってしまった。
乱れた前髪をてぐしで直して、階段をくだって改札を抜ける。
来た時に咲いていた桜はもうすっかり葉をつけている。
この街の夏は早い、まだ 気持ちだけおいつかないなあ、なんだかなあ。
コノ線の下をくぐる小さな橋。壁に隙間なくスプレーで落書きがしてある。
この街は壁という壁に落書きがある。あたしが赤のクレパスで太陽を書く場所なんてない。
立ち止まる暇なんてない、ぐっと前をむいて小さな橋を抜けると、きれいな きれいな夕焼け。
たくさんの黒い線が浮くこの街の空のオレンジ色は、高いビルの窓の反射で、きらきら輝く。
寂しいなんて思っている暇がないのは知っているけれど、
オレンジ色の景色が、どうしても胸をしめつける。
ちょっとだけ、ほんの少しだけ涙を瞳にためて、目を瞑ってまた開く。
今は家族も友達も、遠く遠く離れた街にいるけれど、
つらさや疲れに逃げたくもなるけど、大丈夫。がんばってるよ。
しずんでゆく太陽にぬかされないように胸をぐんと張って、歌って帰ろう。
この空は繋がってるよって、そんな歌。
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