HUGGERMUGGER



           走る僕らは転んでぶつかって
           だけどそれでも止まらない足
           信じている、という答え
           ノーカットでお送りします
           未来予想図はその手で描く
           ライフ・イズ・ラブ
           今からが僕らの時代


7つのお題はすべてalkalism さまからお借りしています。
2007年ごろのお話です。2010年の春に手を加えました。
順不同で読めます。まっすぐスクロールしていただいても読めます。




















































走る僕らは転んでぶつかって



そうだなあ、簡単な自己紹介でもしようか。 なんせ僕は暇なんだ。 持っているDVDは全て見てしまったし、宿題も予習も復習も完璧。 いつも暇を一緒につぶす悪友の晃は今日はデートだと言って、僕の誘いを断った。 女できたからって、彼は調子に乗ってる。うん、間違いない。

僕の名前は伊藤タケ。 漢字でもひらがなでもなく、カタカナでタケ。 苗字はどこにでもある伊藤。 マイ ネイム イズ タケ イトウ。ナイス ツー ミー ツー。 年は16、家から徒歩3分というラッキーな条件に惹かれ、少々バカがつく高校に通っている。 僕は今学年で3位だ。これ、自慢ね。 ちなみに次で1位取ったらじいちゃんが一万円くれると約束してくれた。 僕の気合いはぐいぐい上がる。じいちゃん、一万はもらうよ。

今のところ恋はしていない。 というのはもう過去形になってしまった。 恋はしていなかった、つまり僕は恋をしてしまったのだ。 一生独り身万歳とか言っていたのに、隣にいてほしいなあと願う人ができてしまったのだ。 あーもう、これは大がつく程の失敗だ。大失敗。 なんたって噂に聞くとおり恋は本当に面倒。 そしてその他の耳にする噂に反して、ちっとも楽しくない。 まあ、多少僕自身にも問題はあるのかもしれないが。

僕が好きになったのはうちの高校のマドンナ的存在(ってこれ死語?)横峰真由。 彼女はなんてったって美人。きっと知らない男子はいないはず。 頭は普通、運動は苦手らしいが中学校で3年間続けていた、バドミントンだけはできるらしい。 今は美術部にはいっていて、この間なんかの賞をもらっていた、と思う。 爪は少し長いくらいで、マニキュアを塗っているのか光に当たるときらりと光る。 ああ、女の子なんだなあと、それを見たとき僕の心臓はドキドキした。 そんな彼女の好きな芸能人は…えーっと、名前は忘れた。 顔はジャイアンとゴリラを足して2で割ったようなやつだ。 なんであんなのがいいのかはさっぱりわからない。 少なくとも僕はあんなやつに勝てると思う。自意識過剰ではない…はず。 あー、本当に名前を思い出せない。 こういう時どうしてもいらっとしてしまうのが人間だと思う。 友達と話してると友達まで思い出せなくなることもよくある気がする。

彼女を振り向かせるなんて、ましてや地味で目立ちやしない僕が、 あの 横峰真由とお近づきになるだなんて、そんなのは一生無理な気がする。 僕は2組で、横峰真由は7組。 この2クラスだけはなんの交流もない、珍しいクラスだった。本当に運ないなあ。

ただ、そんな僕と横峰真由でも、唯一接近する機会がある。 放課後の、図書室だ。 そんなに大きくはないのだが、話題作がよく入って、それなりに利用価値はある。 横峰真由はこの図書室によく来ていた。 そして月、水、金曜日の3日に1回ペースで必ず本を返してまた借りていた。 図書局の人と横峰真由との会話を盗み聞きしたところによると、 本が大好きで、物語を読むと絵を描く衝動に駆られる、のだそうだ。 小説は文字で、絵は絵なのに、やっぱり彼女はすごい人なのだなあと、 ものすごく納得したのを覚えている。

そんなわけで単純な僕は月、水、金曜日の放課後は必ず図書室へ行く癖がついてしまっていた。 何をするでもない。第一僕は本に興味などない。 横峰真由が来るまでの間、必死にウォーリーを探している、そんなやつなのだ。

そんな僕でも、明日、今月3度目の金曜日に 彼女が少し前に読んでいた「秘密」という本を読んでみようと思っている。 そしていつか、ばったりどこかで偶然、会った時には 「あれ?7組の横山さんですよね、いつも図書室に来ている。いやあ、僕もあの本が大好きでね…」と話してみせるんだ。





































だけどそれでも止まらない足

俺の隣に今いるのは大飯かおる。同級生だ。 最初にアドレスを訊かれて、毎日かおるからメールが来て、返信を打って…。 そうしていたらいつの間にか、付き合っていた。 というのは少し大げさなんだけれど、周りに流されたという感じだ。 俺はそんなつもりなんてなかったのに、毎日メールをするという事は結構すごいことらしい。 ただ、それが決して俺からじゃなかったとしても、だ。 女子によると「あそこまで気があるフリをしておいて、振るなんてありえないっしょー」 別に気があったわけじゃない。正直かおるを意識したことはなかった。 すれ違ったときに目が合えば挨拶くらいするだろ? メールの返事は現代を生きる高校生として、やって当たり前だろ?
んー、女は難しい。

ただ、そんなことを言っても別に俺はかおるが嫌いではない。 いやいやで付き合っているわけではない、と思う。 一緒にいたら楽しいし、かおるは普通にかわいい子だし。 ただ眠い夜中に、かおるの電話に付き合うのは少し苦痛だったりはした。 そんな時に思うのが「俺、こいつのことたいした好きでもないのになー」だった。 端から見たら俺は最悪なのだろうか? ただ、一つ言いたい。価値観は人それぞれ だ。

改めて紹介しよう。
今俺の隣にいるのは大飯かおる、俺の彼女だ

某ハンバーガーショップで、学校の事だとか、兄弟の愚痴だとか 俺はソフトクリームにジャムみたいなのが のっかったのを食べながら 「うん」「そうだな」と相づちを打ちながら聞いていた。 いつもなら止むことはない話が途切れて、 俺はそれでも残ってしまったジャムをすすっていると、 かおるは じっとこっちを見ていた。

「どしたの?」
「晃くんはさ、どうしてあたしと付き合ってるの?」
「え?」

理由、理由…と探していると、かおるは優しく笑った。

「いいよ、あたしがいてもいなくても、晃くんは変わらないよね。」
「かおる? え、まじどうした?」
「別れよっか、ばいばい」

がらがらとイスを戻して、一度も振り向かずにかおるは行ってしまった。 置いて行かれる、俺。 周りの目による恥ずかしい とは全然違う方向へむかうもやもやがあった。 なんだこれ。なんだこのもやもや。

しばらくメールが来なかった。 すれ違ったとしても、目すら合わなかった。 すでに2週間たってしまっている。 正直、心の底では、かおるは当たり前のように俺に戻ってくると思っていた。 「ごめん、ちょっと言いたくなっただけなの」とか言いながら。 でも 何もない。増えるもやもや。いつまでも原因は不明。 タケにそのことを話すと「僕の誘いを断った罰!」と高笑い気味に言った。 少々いらっとしたが、タケは空気の読める男なので、すぐさま適切な答えに導いてくれた

「かおるちゃんも、きっと同じもやもや増殖中だと思うよ。僕はね」

かおるに会いたくなった。どうしても眠い中また電話したいなあと思った。 もやもやの正体は「寂しい」だったのだ。大きく深呼吸をしてもやもやを吐きだして、もう一度吸う。 放課後逢いに行こう。どうせタケはまた図書室だ。 今すぐ伝えたい事があるんだ。俺寂しかった、って。 かおるが好きで好きでどうしようもないよ、って。 あー、うまく言えないかもしれないけれど。もう遅すぎるのかもしれないけれど。 まあ、大丈夫だと信じよう なんてったってヒーローは遅れて登場するからかっこいいんだろう? …って、ちょっと違うか。


































信じている、という答え

「月曜日はつまんないねー」
「そうですね。一番憂鬱ですよね」
「今日はあの2人来るのかな?」
「ああ、あのすんごい美人な子と、いっつもウォーリーだけ探して帰る男の人ですか?」
「そうそう。あの2人なんかシュールだよね」
「それはどういうたぐいの シュールなんですか?」
「いやあ、なんかさ、いつも同じ日に来てるじゃん」
「ああ、確かに。」
「あの人、あの美人な子のこと、好きなのかな?」
「先輩それは…考えすぎじゃないですか?」
「いや、きっとそうだよ。」
「女の勘ってやつですか?」
「山田もそんなところで本片付けてないで、少しくらい勉強した方がいいよ。女心とか。」
「先輩こそ、本片付けてくださいよ」
「私はいいの。先輩だもん」
「えー、差別ですよ。」
「いいの、先輩だから」
「…はい。わかりました、後輩は働きます」
「そんな山田には飴をあげよう。行くよ、投げるよ?」
「わっ本当ですか?ありがとうございます!」
「せーの…、」
「わっとと」
「ナイスキャッチ!」
「やったー!じゃあ頑張って仕事します!」
「頼りにしてるよ、後輩」




































ノーカットでお送りします

青春は一体全体、何のことを指すのだろう。 花の女子高生にもなって、私は未だに恋をしていない。 恋愛だけが全てじゃないけどさ、それでも寂しいわけですよ 甘いあまい、イチゴミルクを一気に飲み干して、私はそう考えていた。

クラスにも仲の良い子はいるのだけれど やっぱり一番気があうのは、中学からの友達である真由だった。 真由は美人で絵がうまくて本も好きな子。 恋愛とかには鈍感って言われる私だけれど、真由がもてるのははっきりわかる。 こんな良い子なかなかいない。 私は真由に甘えすぎな程、色々相談したりするのだけれど、 真由は私にあまり相談をしてくれなかった。 それが少し寂しくて歯がゆい。


私の後ろの席は伊藤くんだ。 この席になって始めて喋った。伊藤くんはなかなか面白い。 よく牛の胃の謎だとか、世界史の先生のかつらの話だとかを つまらない授業の時にしてくれる。それも面白可笑しく。 なんとなく気になるなあとは、思った。 でも恋とは何か分からなかったので、気になる。それだけ。

「なー舟家さんはさあ、好きな人とかいる?」
「えっ。なんで?」

顔が赤くなりそう。やだやだ。

「僕さあ、めっちゃ好きな子いるんだよね」

あ。
ちょと傷がつく。ずきずき。いたい。 なんともない顔をつくる。

「ふーん、誰?」
「7組の横峰っていう子」
「え、真由?私友達だよ」

真由、もてもてだなあ。 なんか心がもやもやする。なにこれ?

「本当に!?」
「中学が一緒だったの」
「へー、紹介してよって言いたいとこだけどやめとく」
「どうして?」
「僕には作戦がありますから。」
「無駄だよ。」
「…舟家さん、言いますね」
「わたしにしなよ」

ぽろりと出てしまった、言葉。「わたしにしなよ。」だって。 言わなきゃダメだと思ったら簡単に零れてしまった。

「私にしたら、いいと思う」
「ぷっ、いいと思うの?」
「私すごい青春を損している気がして」

当たらずとも遠からず。 誤魔化すように少し早口で言葉を続けた。

「なんて、冗談だよ」
「知ってるよ。舟家さん面白いね」

ああ、私なんて間抜け。 しかも少し本気気味だった告白は 冗談だと思われ、面白いとまで言われてしまった。 でも今はこれでいい気がした。
なんだ、ちょっと青春してるじゃん、私。 教科書で口元を隠してにんまりと笑った




































未来予想図はその手で描く

何をしていても、どこにいても必ず先生の顔がうかぶ。 どんな雑音のなかでも先生の声だけははっきり聞こえる。 これって重症?うん、恋という名の病気ですね。

先生の名前は原田綱吉。つなよし、渋い。 28歳と若めの先生で、顔はフナちゃんいわく不細工だ。 失礼だなあ。私からみたらきらきらしているのに。

美術部に入ろうか、茶道部に入ろうか悩んでいた時に 決めるきっかけをつくってくれたのは先生だった。 見学の時に「悩んでるんですよね」と言うと 「美術部には井上がいる。俺もいる。絶対美術部の方が得だ」 という意味のわからない誘い文句にまんまとときめいてしまった。 井上先輩は私から見ても、フナちゃんから見てもかっこいいみんなのアイドル。 あーあ、井上先輩を好きになってさ、みんなと同じくきゃーきゃー言えたらまだ楽なのに。 先生が好きだなんて、フナちゃんにも言えない。


絵を描くのは楽しい。 特に油絵が好き。好きな色を好きなだけ使って、 決まりもなくただ、塗る、かく、えがく。
でも恋は楽しくない。 もっと楽しいと思っていたのに。苦しくて切ないばかりだ。 先生は私のためだけに笑うことは絶対ない。 どんないい絵を描いても、どんな顔で笑っても、 先生が私を好きになる事なんて ない。

それをどれだけわかっていたって、 どうしても好きという気持ちだけはぬぐいきれなくて、 先生が好きだと言う本を借りるたびに、 私は泣きそうになる。どうしてこんなに好きなんだろう、って。 なんで私は先生じゃないとだめなんだろうって。

先生にお昼の放送で呼び出されて、パンを口いっぱいに含みながら職員室へ向かった。 先生は一枚の、きれいな人がうつっている写真を私にわたした。 「横峰なら描ける」とだけ言って。

「どんな風に、ですか?」
「横峰に任せるよ」
「…どうなっても知らないですよ?」
「どうなっても大丈夫だ」

自信満々に言う先生の笑顔はやっぱり素敵だなあと思った。 でも、多分、もう終わりにできる。 写真をもらったときにそんな気がした。 これを書き終わったら、終わりにはできなくとも、何かは変えられる。 根拠なんてないけれど、強くそう思えたのだ。

放課後、5階までの階段を一気に駆け上がった。 息が弾む。鞄を投げ捨てて、道具を全部用意して、最初に赤、緑、黄色。 それから白を沢山だして茶色も入れる。
夢中で描いた。
髪が長くて、白い肌の女の人。綺麗な人で優しく笑っている。 でも壊れそうだと思った。 そう思ったら青、さっきとは違う重たい色。でもこれでいい、かな? うん、大丈夫。

4時過ぎに描き始めて、気づいたら8時をまわろうとしていた。

「…っ、おわったー」

誰もいないのに気づいたら一人で吐き出すように大きな声で言っていた。 脱力、でも充実感。 汚れた手もそのまま、ブレザーを着て、電気を消した。 廊下の光によって照らされた髪の長い女性は、にこりと優しく微笑んでいた。
先生、

「ばいばい」

そうだ、この絵はさようならの微笑だ。わたしもきっと同じ顔で美術室の鍵をしめている。





































ライフ・イズ・ラブ

たった今、午後3時を回ったいま、3ヶ月続いた彼女から別れを告げられた。 「好きな人ができた」らしい。 泣きそうになって、うつむきながら適当な相づち打ってたら

「やっぱり順也も私のこと好きじゃなかったんだね」

も、ってなんだ!順也も、って! 最初に好きって言ったの君ですよね? 「別れたくない」とか言ってほしかったのかよ、だーもう、くそっ。

「…やってらんねー」
石を蹴って、その辺に生えている木も蹴って、 ずっと放置されっぱなしであろう自転車も蹴って、 零れそうな涙を必死に誤魔化した。

「順也くん、なにしてんの!?」
「あー、大飯さん。こんにちは」
「…なにしてんの?」
「八つ当たり中。」
「あはは、だめじゃん」
「世の中やってらんない事ばかりですから」
「だよねー。あたしもそう思う」
「大飯さんも?何かあったんですか?」
「順也くんこそ」
「俺はたった今彼女にふられましたー、ははっ、まじ笑えねー」
「あたしもこの間別れたばっかだよ」
「え、どうして?」
「話せば長くなるんだけどね」
「はい」
「きっと晃くんは、あたしのこと好きじゃなかったんだと思う」
「なんで?」
「だって、なんにもないの。
 あたしがどんなに好きでも、きっと晃くんはそれに合わせてる
 っていうか何にたいしても、じゃあいいよ、みたいな」
「じゃあふったの?」
「うん。ほとんど一方的に。
 晃くんに優しい言葉かけられたらまた同じだなって思って、ね。」
「ふーん、強いね」
「順也くんは?なんでふられちゃったの?」
「向こうに好きな人ができたんだって。
 俺は頷くだけで精一杯だったのにさ、
 別れたくないくらい言ってよみたいな事言われちゃって」
「うわ、なんかすごいね。強めだね。」
「うん、俺まだ好きなのにさー。もうだめだー!」

あはは、と大飯さんは笑って、 それから「身勝手だけどあたしもまだ好きなんだよね」と言った。

「間違ってるかな?」
「考えて決めたことなんでしょ? 間違ってないよきっと。」
「なんでさ、これ以上ないってくらい苦しむのに、
 好きな気持ちって終わらないんだろうね」
「お、大飯さん詩人だね」
「っていう歌があるんですよ」
「へー、なんだ。期待しちゃった」
「将来のあたしに?」
「そう、サインもらおうかと思った」


後日談だけれど、大飯さんはまた付き合うことになったらしい。 それはよかったなあと思った。
俺は何も変わらず、つい最近までは恋人どおしだった人と、 今は目も合わさなくなるほど遠くなった関係を続けていた。 何も変わらない。 大飯さんの事をほんのちょっと好きかなあ、と思ってしまったいう秘密を除いては。 いや、どうせすぐ忘れられる程度の気持ちなんだけれど。うん、そういうこと。





































今からが僕らの時代

「つなよしー、この絵だれ描いたの?」
「井上、俺一応先生っていう職業についてるんですけど」
「僕とつなよしの仲だろ?で、これ誰描いたの?」
「ったく」
「ねーつなよしー」
「珍しいな、井上が他人の絵気にするのって。横峰だよ、1年の。」
「あー、かわいいで噂の」
「ふーん、噂なんだ」
「つなよし、ああいうの好きそう」
「かわいいよなー、あいつ」
「…ロリコン?」
「俺はあいつの形容詞を述べただけです」
「またまた、つなよし照れちゃって」
「こんな親父が女子高生好きだったらびっくりじゃね?」
「愛に性別も年齢も関係ないよ」
「…まさか井上がそんなことサラッというとは。鳥肌たった。」
「好きなの?どうなの?」
「しつこいぞ。で、この絵がどうした?」
「いやあ。うん、なんかわかった」
「なにを?」
「横峰さんの一大決心。」
「…なにを?」
「まずつなよし、このモデルの人って横峰さんの知り合い?」
「ううん。俺の親戚。
 病気でさ、薬の副作用できっと髪抜けてくるだろうから絵にしてよって頼まれて。
 だから横峰とは赤の他人だよ。もし遠い親戚とかじゃない限り」
「つなよしが描いてやれよ」
「俺が描いていいの?つったら嫌だって。俺の学校で一番絵がうまい人に頼んでって」
「あはは!それ間違ってないね!」
「地味に傷つくっつーの」
「でもなんで俺じゃないの。」
「井上はこんな繊細に描けないだろ」
「まあ…、こういう風には描けないなあ。技術は俺のほうが上だけど。」 「へー。珍しい、認めるんだ」
「俺ここまで素直に感情ぶつけられません。愛がこもりすぎ」
「あい?」
「そう、ラブ。わかる?愛って何か」
「十代半ばガキが、おっさんの俺に愛を語らないでください」
「じゃあつなよしって結構どんかんなんだね」
「は?」
「…まあいいや。つかのど乾いた。つなよし飲み物」
「わがままなぼっちゃんですね」
「わがままは俺らの特権だから」
「ふーん。青春中ですか」
「そう、これからですよ。期待しといて」
「はいはい」