癒えない傷と、言えない思い。抱きしめて生きてゆく
待ち合わせは公園だった。
私が、そうしようとミムに言った。
出逢ったときと同じブランコに、冷たい風の中わたしは揺れる。
「よ、」
ミムもあの時と同じように隣に座る。
当たり前みたいに隣のブランコに座って、
わたしに笑いかけてくれたミム。
今日も同じ笑顔だ。
「なんでまた泣いてんだ、まだ誰かに振られたの?」
わたしもまたあの時と同じ泣き顔。
んーと言葉にならない涙をミムはぬぐってくれる。
そうね、あなたの手はいつもあたたかい。大きくて、優しい。
「話って?」
「、ちょっ…待ってね、」
「うん、待つよ。」
寒空にギーギーと鳴くブランコ。
ミムの手には錆びた鉄、冷たそう。
はやく、この涙をぬぐわなきゃ。
はあ、とひとつため息。
ため息 じゃない。深呼吸。深く、息をおとす。
「別れ話をしに来たの」
「んー?」
「友達に 戻ろうって、それを伝えにきたの。」
「…、理由は?」
「わかってるくせに。」
眉をひそめて、ミムは微笑む。
「そっか、」
涙が、喉の奥でこんがらがって、
言葉が うまく出てこない。
きっとわたしもミムも悪くない。
ただあまりにも同じで、それがわたしたちを苦しめた。
わたしだけにはわかるミムの気持ち。
世界でただひとりと言っても過言ではないほど。
もう全然平気って笑う強がりも、
夜 思い出しては泣いてしまうことも
戻れないって頭ではわかっていたって
いつかまた、だなんてつい祈ってしまうことも。
「一緒にいればいるほど、きっとダメになっちゃうから、
わたしたちにもし一人で歩いてゆく強さが備わったら、」
わたしはその後、どう続けるのだろう。
その時また付き合えたら?、そんな甘い考えなのかなあ。
「ごめんな、言わせて」
「ちがうよ。たまたまわたしだっただけ。」
「ゆかは強いなー」
「ミムのおかげで少しだけ強くなれたよ」
もし出会うのが今じゃなかったら、
わたしたちはふたりで幸せになる道を選べたのかな?
「ねえ、ゆか」
「ん?」
「俺、レイのこと忘れられてないのもほんとだけど
ちゃんとゆかのこと、好きだよ。
好き だったよ。」
「うん、わたしもミムのこと好きだったよ」
でも、やっぱり出会えたのが今でよかったって思うの。
今のミムを抱きしめてあげることができて
今のミムに今の私を抱きしめてもらえて、わたしは救われたよ。
「リュウに伝えに行くの?」
「ううん、行かない。」
「そっか。」
「うん、今は誰にも甘えずに生きてゆく力をね、蓄える」
「ゆかのそういうとこ、かっこいいと思う」
「ふふ、ありがとう。
わたしもミムのそういう素直なとこ、素敵だと思う。」
「はは、サンキュ。」
「じゃあ、次会う時は友達で」
「うん、またね」
ミムは笑って手を振ってくれる。
いつも笑顔で、その強さにわたしは何度救われただろう。
わたしも笑顔で手を振り返す。またね、またね。
わすれられないうたがあるの