アイスを食べよう、ふたりで。
「おはよ、めーちゃん」
目を開けるとカイトが笑っていた。
手のひら一つもはいらないような近い距離で、満足そうに。
なんかすこしむかつくけれど、カイトの左腕が優しいから
今は、素直になってあげてもいいかな。
じっと顔を見つめているだけの私に、カイトは不安そうな顔。
「…めーちゃん?」
「おはよ」
「今なに考えてたの?」
「カイトのこと」
「うそ、」
「うそ。」
「本当は?」
「アイス食べたい」
「めーちゃんめずらしい!」
「カイトのアイス頂戴」
「え、」
「いやなの?」
「……」
「カイトは私にアイスくれないの?」
「…、一個ならいいですよ」
「ふふ、ありがと」
カイトの腕枕から頭をはずして、ベッドを出る。
薄手のキャミソール一枚じゃ、肌寒い。アイスやめようかな。
そう思って、振り返ると一人ぼっちの子犬がひとり。
あー、かわいいかわいい。しばらくその顔してなさい。
戻ろうとしていたぬくもり溢れるベッドにもう一度背をむける。
冷凍庫の戸を開けて、ひんやりした風をあびる。
んー、バニラでいいや。ぴっとひっぱって袋をあける。
くわえたまま寝室に戻ると、カイトがいない。
寂しくしている顔が見たかったのに。
トイレかなあ?と思った瞬間に後ろから、大きいぬくもり。
「めーちゃん、おいし?」
「…じゃま」
あ、素直になるんだった。忘れてた。
離れてしまうカイトを下から覗きこむ。
「うそ。もっかい」
おはよう
後ろにぬくもりを抱えたまま、半分以上残ったアイス。
「飽きた」と上を向いてカイトに渡すと、甘いキス。バニラ味。
してやったりの顔にむかついて、そのまま背伸び。ごつん、と痛い音。
それでも笑うから、仕方なくその腕の中にとどまる。
朝日が眩しい、目を細める。陽だまりの中に、ふたりぼっち。
やさしく抱きしめる腕の中、ふたりぼっち。