すきなの、だから不安になってしまうの
すきです
真っ赤な顔、まっすぐな目、その瞳にうつるのはあたし。
つきあってください。
顔があつく感じたのは、天気のいい日だったから。
どきどきしたのは、きみの鼓動が聞こえたから、
必死に余裕を装ってるレンくんのことを、かわいいなあって思ったからだよ。
すきなの
「リン、かーえーろー。」
「ごめん、ちょっと待って」
「はーい。」
最近、レンくんはほんの少し、背がのびた。
声もすこしだけ低くなった。気がする。
あの日、レンくんに すきです と言われた日から
ゆっくり だけれどあっという間に時間はすぎて
いつのまにか二人でいることが当たり前になった。
だけれどあの日とは少しずつ変わってゆくレンくんにどんどんどきどきして
そう思っているのはきっとあたしだけで
なんだかレンくんが離れていっちゃうみたいで、寂しい。
「おまたせ」
「ん」
繋ぐ手のひらも、重なる手の汗も、レンくんはもう慣れちゃったかな?
頭には黒いもやもや。あたしらしくないなあ。
上手にレンくんと目をあわせられないや。あー、どうしよう。
「リン」
「っなに?」
「今日ひま?」
「今日はイトコのお兄ちゃんと約束があるの」
「そっか。あ、夜は?」
「たぶん、大丈夫。」
「電話しても、大丈夫?」
「うん」
心の中で約束を恨む。レンくん誘ってくれようとしたのになあ。
どこ行こうとしてくれてたのかなあ。行きたかったなあ。
そのあとはいつもと変わらないような、
レンくんの、先生のものまねとか、学校のうわさとか
小さなことで笑って帰り道。分かれ道、手が離れてぱらぱらと振る。
家についた時、ぷるると電話。
はいもしもしと出ると、頭から「ごめん」の言葉。
どうやら今日の約束はなくなった模様。
「なにそれー」文句をぐだぐだたれると「今度おごるから」でおしまい。
おごってもらったって、今日のレンくんのお誘いは戻ってこないのになあ。
うまくいかないなあ、へこんでちょっぴり泣いて気づいたら寝ていた。
20時ちょっきり。一度大きく伸びをすると、タイミングよくレンくんから着信。
よし。心して、出る。ぴっ。
「もしもし」
「もしもし、今だいじょうぶ?」
「うん。」
「今日イトコどっか行ってきたの?」
「それがね、なくなっちゃった。ひどいよね、」
「え、」
あれ、え だけで終わっちゃった。
「もし、もし」
「それって本当にやくそく、だった?」
「え…?」
「いや、ごめん今のうそ」
「レンくんあたしのこと疑ってる?」
「…ちょっぴり」
「なん で?」
「俺とデートするの嫌なのかなあって」
「どうして、」
「リン、俺のこと好きじゃないのかなあって」
「……っ、」
「リン?」
「、ひっく…うー 」
「泣いてる?うわ、ごめん。ほんとごめん!」
不安ばかりで、うまくいかないことばかりで
追い討ちをかけるように、レンくんに信じられてないし
もー。涙がとまらないよお。
「レンくん」
「ん?」
「レンくんあたしのこと好きじゃなくなった?」
「好きだよ、リン すきだよ」
「ほんとに?」
「…でも、俺だって不安になっちゃうわけ!
最近目あわないし、なんか避けられてる気がするし。
思い返せばリンに好きって言ってもらえた回数なんて数えるくらいだし。」
「ううー、ごめんなさい」
「リンは、俺のこと すき?」
「すきだよー、もうやだあー」
「いや?」
「レンくん最近背大きくなって声も低くなって
レンくんのことかっこいいっていう人も増えたし。
手繋いでも、あたしばっかりどきどきしてるのかなあって、不安だし」
「俺の方が!」
耳がキーンとするほどの、大きい声でレンくんは叫んだ。
びっくりして、涙はひっこんだ。
「俺の方が、どきどきしてます」
ぷっ、と笑ってしてしまった。
電話ごしに、真っ赤な顔が見れた気がした。
きっとレンくんの耳まで真っ赤なんだろうなあ。
それからふたりで何度か謝りあっこして、なかなおり。
よかった。レンくんも不安だったんだね。あたしだけじゃなかったんだね。
早く逢いたいな。明日にならないかなあ。
「明日ひま?」と今回はあたしから。
「あいています」と優しい口ぶり。
明日はちゃんと大好きだよって言えたらいいなあ。
そうしたらきっとレンくんの真っ赤な顔、見れるんだろうなあ。